2014年10月19日日曜日

トヨタの大量リコールの理由

つい先日、トヨタ自動車が合計100万台以上が対象となる、大規模リコールを発表した。株主からみても、またトヨタ車ユーザーからしても、実によろしくない事態だ。

おそらく一般の人の感覚でが、トヨタは他のメーカーに比べて、リコールがやたら多いと思っているはずだ。トヨタがリコールが多いという印象には、大きく二つの理由が存在していると思う。

一つは世の労働者寄りのジャーナリストが言うように、トヨタがブラック企業だからという理由だ。「カイゼン」の名の下、労働者に息をも付かせぬ厳しい作業ノルマを押しつけているから、不具合が多発するという理論だ。

私はトヨタの株主だが、トヨタ自動車がブラック企業かと問われれば、自信を持ってNOとは言えない。トヨタ(特に製造現場で働く期間工労働者)が厳しい労働環境なのは間違いないだろう。

だが、それがリコールの発生数の多さの原因だという理論は、少々早計ではないだろうか?本田や日産だって、製造現場にいるライン工はブラック労働だ。それにリコールの原因の大半は、設計段階のミスだ。製造現場レベルのエラーは、いわゆる初期不良程度の規模であり、百万台単位のリコールに至るのは、もっと根本的な設計段階の不具合が原因なはずである。

これは、今から述べるトヨタのリコールが多く感じる理由その2に直結する話だ。トヨタ自動車の販売台数は、日本では圧倒的一位である。車の流通料が多ければ、リコールに遭遇する確率も必然的に高くなる。性能や管理体制の問題ではなく、単に分母が多すぎるから、不具合の発生件数も増えてしまうというだけの話だ。

つまり、トヨタの製品管理体制が他社と全く同じレベルであっても、分母の多さから、リコールの発生件数が必然的に最も多くなるのだ。

「ブラック企業だから」などとヒステリックにならず、少し冷静に考えれば、小学生にでも理解できる単純な理屈なのである。