2013年5月2日木曜日

トヨタのマーケティング戦略はイケてない

トヨタ自動車の株主として、最も懸念していることは、マーケティング戦略の弱さです。作る自動車の品質は高く、環境技術も最先端を行っているはずです。だけど、世界市場ではさほど売れていないし、盤石だったはずの日本市場でもかげりが見え始めています。その原因は、マーケティング戦略に失敗している事なのは明白です。

まず、海外市場~特に成長著しいアジアの新興国に進出するのが、致命的に遅れています。グローバルマーケットで最大のライバル会社の一つであるフォルクスワーゲンは、早くから中国市場に進出して基盤を築いていました。また、中国と比べても更に発展途上だが、将来性はそれに匹敵する市場であるインドでも、トヨタの存在感はゼロ。日本では負け組といわれているスズキは、1981年からインド市場に進出し、現在最大のシェアを持っている事からして、これもトヨタの戦略ミスだといわざるを得ません。トヨタは欧米ばかり見て、将来性の高いアジア新興国を軽視してきて、そのツケが回って来つつある状況です。

また、日本市場でもトヨタがシェア一位である事には変わりありませんが、将来まで安泰とは言えないかもしれません。特に若者に対するPR、若者向けの車作りに失敗している事は、致命的だと思います。売れない原因を「若者の車離れだ」と責任回避発言をくり返し、中高年向けの車作りに終始し続けた事は、投資家から見て腑に落ちません。マークXなどはその典型で、若者ぶりたいオヤジ向けの典型車ですからね。

という具合に、現在は世界一の自動車販売台数を誇るトヨタですが、一寸先は闇だと言っても過言ではありません。特に、簡単な機構で生産できる電気自動車が普及すれば、自動車産業は「資本集約型産業」では無くなり、中小メーカーが台頭する余地が広がります。中国やインドは、人口からして将来的には、アメリカをも上回る世界最大の自動車マーケットになることは確実です。今は無名の中国やインドの地場企業が、トヨタを上回る販売台数を稼ぐ時代が来ても、不思議ではありません。

ですからトヨタ自動車は、欧米先進国マーケットや日本の中高年向けといった「目先の利益」に固執せず、将来を見据えたグローバルマーケティング戦略を考え直して欲しいものです。無論それは、北野武やジャンレノをCMに使うとかいった、単に奇をてらっただけのマーケティングとは全く違います。

日本企業は技術力はあるが、マーケティング戦略に失敗しているから、グローバル市場で負けつつあります。この常識を打ち破るのは、日本最大のグローバル企業である、トヨタ自動車こそが先陣を切る存在でなければいけないはずです。当サイトでは、今後もトヨタのマーケティング戦略に物申していきたいと思います。